サイの術で、瞬間的に移動した場所は、木の葉の演習場だった。

「…鬼鮫ェ……フフフ……強そうな奴あ大好物だぜ…。……殺らせてもらうぜ!」

飛段はペロッとクナイを舐め、そのクナイで自らの脇を刺し、自分の血をボタタッと地に落とした。
足で素早く陣形を描いたが、

「…クナイだけじゃ武器が足りねえ…!代理、貸してくれ早く」

と低い声で言った。サイは大手裏剣2つと、文鎮刀を貸した。飛段は受け取ると陣形の中に膝まずいた。シカマルは少し離れた所で、サイは陣形のそばでその一連の儀式に備えた。

飛段の体が黒く変わっていくと、白い骨格の模様が浮かび上がってきた。チャクラ量が上がってくるのが分かる。
飛段の目が禍々しいオーラを帯び、シカマルは目をそらした。
行くぜ、とドスの効いた声が聞こえて、次の瞬間、飛段はグサリと文鎮刀を心臓に刺した。

『……ぐはっ………!き、気持ち……イイ……切れ味が……………たまんねえ!』

足りずに、大手裏剣をガシッと掴むと胴の部分にグサッと突き刺した。

『……はあああ!………イイ……ぜマジで』

サイは、じっと飛段を見ていた。ーーこれを見るのは自分の役目だと分かっていたからーー。そして、この術の不透明さに気づいた。いかんせん、対象者を本当に殺したかどうかは、飛段の感覚でしか分からないのだ。キサメといったか、そいつが本当に絶命するのを見届けなければならないが、今ここを離れる訳には行かない。飛段とシカマルを二人には出来ない。

(隊長の感知があれば……。偵察を出すしかないか。)

今は全ては飛段次第、新たな脅威や、邪魔が入らないように気を配るしかここで出来ることはない。サイは巻き物に鼠を描きだし、散!と号令をかけた。そして飛段を見守っていた。


『……ングッ………はあああ!!ウグググゥ……!!!』



飛段の声が変調した。先程より余裕はなくなり、ブルブル震える手で、2本目の大手裏剣を心臓にブッ刺した。


『………グオオオオオオ!!!』


まだ足りないのか、クナイを喉に突き立て、天を仰いだかと思うと、陣形にドッと倒れ込んだ。

「………大丈夫か、飛段?!」

サイが言うと、噛みしめた歯をガタガタ震わせ、口から血を流しながら何か言っている。

『………チャクラ……………デカ……すぎんだろ…………!キャパが足んねえ…………とか………!』

その時、鼠が帰還し、巻き物に戦況を知らしめた。キサメがあれだけの傷を受けながらまだ立っている様子が描き出される。サイはバッとシカマルの側に飛んだ。何か分からないが、仕留めるにはさっきの所に戻って、キサメとかいう暁を物理的に攻撃し、チャクラを減らさせるしかない。

「シカマル、キサメをツーマンセルで物理攻撃しなくちゃ勝てない!」

体中の血を流しながら陣形に倒れ、ゼイゼイ言っている飛段を、シカマルはチラと見たが、サイの真剣な顔を見て頷き、墨霞の渦に巻かれた。





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