飛段の持つクナイに鬼鮫の鮮血が付いた。

「飛段…お前の呪術で私を倒せると本気で?」

切られた手を庇いながら、鬼鮫が呟いた。

ドクン!!

ーー?!ーー

鬼鮫の大刀、鮫肌が、まるで生きているように脈を打ち、その鼓動が波紋となって、前方を飛ぶサイたちの体にまでビリビリ伝わってきた。

高密度のチャクラ波のような、得体の知れない底力を感じる。人間のチャクラのレベルではない、ーーまるで、ナルトが尾獣に支配された時のような感じーーそれが、サイに警戒を抱かせた。

すぐさま先頭を飛んでいたシカマルに合図を送ると、シカマルはサイのそばに素早く戻り、影でシュルッと飛段の体を捕まえた。

「…墨霞の術!」

三人の回りに墨のような黒い渦が出来たかと思うと、激しい旋風となって、サイたちはあっという間に霞みと消えた。

鬼鮫の指から血らしきものがポタボタと落ちている。それを鬼鮫は舐めとって、鮫肌を握り直した。

「…さあ、飛段、お前がどう呪い殺してくれるか、とくと拝見するとしますかね…フフフ…」

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