夜明け前の冷え込みなのか、廃屋の壊れた扉から風が吹き込んできている。屋根裏に、何かの気配がした。三人が素早く戦闘体勢をとると、天井がバラバラと音をたてて崩れ、何かが降ってきた。

家屋の残骸や埃が舞う薄闇の中に、黒地に赤い雲模様のマントを翻し、寝袋の一つに馬乗りになった大男が見えた。息を殺していると、包帯を巻いたような大刀を振りかざし、寝袋をメッタ刺しにした。
ボン!と寝袋の中の変わり身の術が解けて、川原の石に戻った。影縛りが、大刀をギリギリ縛り、大きな獅子が大男に組みついて動きを封じた。鋭い牙で攻撃しようとした刹那、大男が急に液体化した。バシャッと崩れた水が濁流と化し襲ってくる。三人は廃屋から外に飛び出した。

「…チッ!水分身か」
「鬼鮫!」
「一人?!」

三人がバラバラと川原に降り立つと先程の大男が、ズッシリとした刀を肩に担いでそこにいた。一人でいるくせに余裕すら感じられる。

(…ツーマンセルではないのか?…)

あたりに人の気配はない。と、そこで鬼鮫が口を開いた。

「…飛段、やはり……。木ノ葉の犬になってましたか。リーダーがほんのちょっとだけ心配してました。機密情報を漏らすんじゃないか、とね……。チャクラが少し変わりましたかね?……」

「…クソリーダー!バカにしやがって。つか俺ぁ漏らすほど情報持ってねえよ!
そんなことより鬼鮫ェ、………一人、みたいだなあ……?」

「…イタチさんは………退っ引きならないご事情がおありで……。っと、昔のよしみでつい喋りすぎましたが。」

鬼鮫は刀をガシャンと持ち変えた。

「裏切り者とその味方とやらを削り倒すために来たんですよ!」

鬼鮫はブン!と大刀を降り下ろした。その刀はまるで生きているかのような動きをし、唸りをあげて襲いかかってくる。攻撃が広範囲で、避けるのに間合いを取らなければ切られてしまう。

「…水遁!水牢!」

癖のある声で発動したそれは、巨大な水の塊だった。いくつもの球状の水が、宙に浮いたかと思うと、落下し、サイたちに襲いかかった。



105
[prev] [next]

top

























人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -