そこへ、ヒュン!と音がし、飛段の背中にクナイが刺さった。
痛え!と叫んで振り向くと、シカマルが、クナイを投げたフォームのまま、凍えた蒼白な顔で立っていた。
「「…てめえ!!」」
シカマルと飛段が、同時に怒鳴った。
飛段が隙を見せたので、咄嗟にサイは文鎮刀で切りつけ、その場から飛びずさった。巻き物を手繰り、墨壷を開ける。息が、しにくい。咳き込みながら乱暴に、黒く太い線を二本描くと、厳しい顔で言い放った。
「超獣戯画!!!」
シュルシュルと黒く太い蛇が二匹、シカマルと飛段を拘束し、締め上げた。
もう先程までの、気遣ったり、心配するような優しいサイではない。暗部隊長代理の顔になっていた。
「シカマル、助かったよ。ありがとう。
悪いけど、今から二人が争うことを、僕が許さない。
暁を殺るまで、僕らは同じ隊で、どんな恨みがあるにせよ、任務に赴き、遂行する。
君らの間に起こっている事を乗り越えろとは言わないし、僕は心のケアをしてあげたいけど……多分うまくは出来ない気がする。
これからは木ノ葉のために、マジで任務遂行第一でいかせてもらおうと思う。
それを分かってくれるまでこの蛇は解かないつもりだから。
言いたいことがあったら、そこに気がすむまで書いてくれ。」
サイはサラッと言って、二人に墨のついた筆と紙を渡すと、背を向けて座り、忍具の点検を始めた。
103
[prev] [next]
top