飛段が帰ってきたので、サイはシカマルと外に出ようとした。シカマルの肩と、飛段の肩がぶつかる。よろけたシカマルに、飛段は、

「…何ヤられたみてえな顔してんだ!ヤったのてめえだろ!」

と雑言を投げつけた。
シカマルは答えずに足早に出ていった。

サイはここまでのあらゆる事をひっくるめて、シカマルを理解したいと思っている。それでも、寄ると触ると揉める面倒くさい二人を、出来ることなら、刻を司る術でもあれば時を遡って、接触しなかったことにしてやるのに!とすら思った。
サイが、忍である前に、人間になってきたのか、感情的になっているのはサイの人間性の成長の証しではある。

任務遂行至上主義の根の観点からも、木ノ葉の暁討伐班の共闘レベルから考えても、この班の互いの信頼度ははなから最低レベルだった。
シカマルは恨み辛みで飛段を亡き者にしたいだろう。しかし一度木ノ葉が甦らせたものを襲えば今度は反逆罪に問われる。
飛段は死なない上に、我が暁討伐班のいわば、ーー全く…、まだ全く機能していないがーー…キーマンである。

全員、暁を殺ることに躊躇はない。二人の間の怨恨が避けようのない問題で、二人がそれを乗り越えられるかどうかは分からない。
ただ、感情的な部分は取っ払って、『バラバラな三人が協力せざるを得ない状況』が目の前に立ちはだかれば、班として機能するかもしれない。

つまるところ、暁に遭遇するしかないのだ。

暁を前に、かつてないほど死物狂いになるしかまとまる道がない。
それで共闘できなければ、死が待っている。少なくとも二人には。

突き進むしかない。
戦いを前にした時、忍の本能は目覚めるはずだと信じて。






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