シカマルが影からよくよく目をこらすと、倒れた飛段の周りに血塗られた陣形が描かれていた。

(これは、儀式……)

骸骨のような様相ではないようだ。あれは、相手を陣形で殺る時だけのものなのか。
今は肌の色は白く、余計に血飛沫が目立つ。
ただただ、倒れて動かず、空を見つめてじっとしている。暗部の鎖帷子だけが呼吸にしたがって上下に揺れている。

そのうち、ガクガクッと顎が動き、ああああっと声をあげるのが聞こえた。
尋常ではない、何か性的なものを感じさせる声だ。それが終わると、

「ハア…アア……ァァ……」

という吐息が聞こえ、シカマルはゾクッと総毛立った。なぜか飛段を見てしまう。

月明かりに、眉根を寄せて頬を上気させる顔を、見た気がした。誰かの魂を略奪し昇華する時、あんな風になるのか。それがジャシン教の、儀式なのか。

(!)

シカマルの脳裏に、辛い記憶が甦った。



《……アスマ…………!》




(………アスマを殺した後も…………、

なぶり殺しにした後も、あんな、………あんな声をあげたというのか。
まるで他人の死が、快楽であるかのように……



……………許せない。



……………!飛段……お前は………俺が絶対………許さない!)



シカマルは、チャクラを吸わせた手裏剣をホルダーから出したが、カチャカチャと音をたてるだけでうまく掴めない。怒りで指が震えている。

シカマルの黒い影が、ズオッと暴走した。

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