日は落ちて辺りは闇に染まってきた。暗く林立する木々のうねりの中、大鷲から落ちてきたシカマルは、大木を影縫いで捉え、なんとか無事だった。
隊の者をーーといっても、隊長は体と精神がバラバラの状態で連れ去られてしまったし、飛段は最初から…シカマル的には仲間ではないし、という訳でサイしかいないのだがーー探してみるものの見つからないので、枝を渡り渡り地上に降りてみる。

「…暗くて見えねえな……痛てッ……」

影縫いを発動して体が止まるまでの間に、爆風で飛ばされた折れた枝の先やら、何かの破片で、あちこち擦り傷を創っているらしい。いくつかの棘を腕や脚から引き抜くと、鮮血がツーッと流れた。シカマルは、医療パックの止血シートでそれを処置した。

血が、命取りになる。

大鷲から墜ちた飛段が、何処に居るのか分からない今は特に。

飛段は何処にいるのだろう。これを好機にトンズラしているかもしれない。

木の葉に離反せぬよう施されたダンゾウの謎の術も、あの様子ではもう効いていないと見た方が懸命だ。木の葉であろうが暁であろうが関係なく、呪えるなら誰でも、無差別に殺戮するのではないかとも思える。

ーー離反せぬよう……君が禁術をかけるんだ、シカマルーー。

フーの声が聞こえたような気がして、シカマルは、辺りを伺った。
俺は何も、かけてない。どんな禁術を、どうすればいいかも分からない。隊長は、もう居ない。

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