(来るッ……!)
墨つぼを開け巻物に筆を走らせ、サイが大鷲を造り出した。
「乗れっ!早く!」
フーの隊が背に乗るや否や、大鷲は急上昇した。
デイダラの造形物のドラゴンがズズッと膨らみ、下から追ってくる。
ギュンッ!と爆風と共に、何かが飛んで来、辺り構わず爆発する。閃光に目が眩む。

「スピードが、速すぎる!一旦退く!」

面をしたフーが叫ぶと、同じく面をした飛段が怒鳴る。

「ありゃC2だ!口から小さい奴が弾になって出て来やがる、逃げねえとヤバイ!」

「…忠告どうも!!」

シカマルが、攻撃を避けジグザグに飛ぶ大鷲の上から影縫いを発動したが、飛んでいる物体に影を這わすことは難しい。標的を縫おうと試みるが空(くう)を掴まされ、それでもさらに影の攻撃を畳み掛ける。
デイダラはうまくかわしたが、逆にキレたようだ。

「しつこいんだよ!その手に乗るか!バカヤロー!うん!」

(クソッ!でも、もう一手、、!)

ーーヒュ、ヒュン!ーー

シカマルはアスマの形見のチャクラ刀を影縫いで投げた。

「…刺さった!…」

残念ながらデイダラにではなく、かろうじてドラゴンの背に、チャクラ刀が突き刺さったのだ。右手を挙げてみる。ドラゴンの右前足が、ググッと無理に挙げさせられ、バランスを崩しそうになっている。シカマルは確信した。

ーーリンク完了!ドラゴンを捉えた!ーー

フーはサイに叫んだ。

「……サイ!上空からキリもみで降下!皆も振り落とされるな!」

「「了解ッ」」

大鷲は再び急上昇すると、キリもみ飛行で急降下してゆく。ドラゴンもそれに追随させられ、キリキリ舞いして落下する。シカマルはチラ、とサイを見た。サイもシカマルを見、頷く。
連携の演習を体が覚えている。この瞬間、『信じない』選択はなかった。

ーー今だっ!ーー

大鷲が地面に衝突する寸前、ギリギリのタイミングで、シカマルの影縫いがズズッとチャクラ刀を引き抜いた。サイは大鷲の首を上げさせて衝突を回避すると、急上昇した。

影真似の術から解放されたドラゴンは、グルグル急回転しながら、恐ろしいスピードで地面に激突した。ドラゴンの腹あたりがにわかに膨らんだかと思うと、凄まじい爆発音がした。


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