鹿狗はかなり時間が経ったので、飛段にシャワーを勧めに来たのだが、飛段の手と鹿丸の手が繋がっているのには少なからずびっくりした。
しかし、よく見ると、飛段は外そうと静かにもがいていて、鹿丸は離そうとしていないようだ。鹿狗は思わず吹き出してしまった。

飛段は開き直って「…離さねえんすよ、息子さんが。」と言って笑うしかなかった。

「…兄ちゃん、こいつ、あんたをどうしても助けたかったみたいでな。警察のヘリに乗ってあんた探してたらしいぜ。結局、いいとこ見せれなかったみたいだけどな。」

鹿丸が俺を?飛段は鹿丸を見た。
もう気が済んだのか、鹿丸の手は飛段の手から離れていた。
夕飯もあるから食いな、と鹿狗は飛段に言い、部屋を出ていった。俺は往診があるからちょっと出てくる、あんたらのことは言わねえから安心しろ、と言いながら。


飛段は鹿狗が用意してくれた湯気のたった雑炊を椀によそった。
まともな食事は病院で食べたのが最後だった、と思い出した途端、猛烈に腹が減っていることに気づいた。
頂きます、と手を合わせると、黙々と雑炊を口に運んだ。旨い。これは角都にも食べさせてやらなければ。

座敷に行ってみると角都はまだ寝ている。
すると、物音で起きたのか、鹿丸が寝ぼけ眼で立っていた。

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