「…麻酔が効く前に、」と鹿狗は言った。
「あんた初めての患者だが、チャカ持ってんなら渡しな。あっちの手術急いだもんで、預かる暇も無かったからな。
あと、通り名を教えてくれ。」
飛段は銃を渡し、名前をカルテに書いた。
細かいことは書かなくていいぜ、と鹿狗が言い、職業欄にホスト、と書いた所で飛段は手を止めた。
「お前さん、家の伜と同業じゃねえか。どこの店だい?」鹿狗はカルテを受け取ると、飛段をリラックスさせるように言った。
「…同じなんだよ。」鹿丸が言うと、
「…同じなんすよ。」飛段も眠そうにフッと笑って言った。
鹿狗は二人を見比べながら、奇遇だな!と言い、飛段に、安心しな、俺はサツじゃねえ、医者だからな、目が覚めた時には治ってるぜ、と笑って言った。
飛段が眠ってしまうと、鹿狗は、
「…こいつからメールが来てな。角都ってやつからアドレス教えられていたんだろうな。とにかく、必死だったぜ。」
腹の傷を消毒しながら鹿丸に話す。
返事がない。
鹿丸は、と見ると飛段のベッド脇に突っ伏して寝てしまっていた。
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