眩しい光に目を細めると、出てこようとした人物が口を開けてこちらを見ているのに気づく。

飛段だった。鹿丸を見て驚いている。

鹿丸も、あっ!と叫んだが、鹿狗の緊迫した声が奥から聞こえる。

「…兄ちゃん!そこ、洗面所で手洗ってきてくれ!早く!」

消毒液と血液の匂いがする。鹿丸は飛段に洗面所で手を洗わせ、自分も洗った。多分角都という人の手術なのだろう。親父の怒号は、手術が一刻を争うことを物語っていた。

「…親父、帰ったぜ。」鹿丸が声を掛けると、鹿狗は、閉めただろうな、と手元から目を離さずに言った。

鹿狗は手早く治療を施した。内蔵の破裂はないと飛段に説明する。ただ外傷が酷いので、何十針と縫うことになる、と言う。
鹿丸と飛段は、手伝えること、言われたことだけ黙々とやった。顔色の悪くなってきた飛段を座らせ、鹿丸だけが手伝う時もあった。

「…親父、こいつも診てやらねえと」
目の下に隈が出来た鹿丸が言うと、鹿狗は分かってる!けど先に処置するのはこいつだ、と言った。


鹿丸は麻酔で眠らされている角都の浅黒い顔を見た。

(…親父、この人が例の指環の主か。俺ら家族の恩人で、飛段の相方…。)

飛段より歳上なのだろう、それにしてもこれだけ酷い暴力に耐えたその精神力が凄いと思った。

飛段が、椅子でうつらうつらしだした時、鹿狗は言った。

「…終わったぜ。次は兄ちゃん、あんたの番だ。」



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