真夜中の山道をひた走り、どうにか国道に出る。行きの事故のあたりは警察がまだ出張っているかもしれない。避けなければ。
脇道を辿って、なんとか角都の言う場所まで行かなければならない。
バイクはすでに盗まれたと通報されているに違いないが、この傷で角都を歩かせるのは無理だ。乗り捨てた方が上策だが……。

しばらく走ると、街灯が付いたり消えたりしている道路沿いに、ポツンと寂れたコンビニが見えた。

(…あっ。)

飛段は減速した。
運転手が買い物に行った空車のタクシーが止まっていたからだ。だが、さすがにキーはなかった。

タクシーの運転手がビニール袋を持って店から出てきた。
飛段は若そうなその男がタクシーに乗り込む所に手を挙げた。
真夜中で、流していても客はいないのか、又はこんな辺鄙な所で客に出会えるとは思わなかったのか、ボロボロな男二人という怪しい風体にもかかわらず、ドアを開けてくれた。

飛段が行く先を告げると車は走り出した。
途中、パトカーとすれ違うこと何回か、飛段は終止顔を下げたままでいた。最初話しかけていた運転手も、あまりに無愛想な客に、最後には黙ってしまった。
走ること20分、ようやく見慣れた街並みに戻ってきた。



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