脅迫の首謀者たちは、怒鳴りながら角都を捜し回った。
地上に出た形跡がないとわかると地下水路跡へ続く道へと走りだした。
突然、アジトの方で爆発音がした。男たちは右往左往し収拾がつかなくなった。

その隙に地上に出た飛段は、建物が黒煙に包まれ、赤い炎が噴き出すのを振り返り、フン、と鼻で笑った。

(…派手にやったな。)

角都が気を失いかけていなければ、そう言って笑うだろうに。

「…角都、」飛段の肩からともすればずり落ちそうになる角都の手をグッと掴もうとすると、いつもと何かが違うのに気がついた。

指環。指環がない。
多分あいつらが脅迫に使った後、捨てたかしたのだろう。

あの指環は、前に一度、単独の仕事が終わって数日して会った時、理由は知らないが指環をしていなくて、新たに買った物だった。

バイクを茂みから出し、角都を抱き抱えて乗せる。

飛段は、角都の腕を自分の腹に回させ、下り坂を一気に疾走した。



そして今現在。刑事は鹿丸と部下とヘリコプターに乗り込み、無線で本部と話していた。

「…飛段を見失った!?
あっちが電源切ったのか…
だが、その付近にいるのは間違いない、探せ。
我々も空から追う。」

飛段の携帯がGPSで確認出来たのはほんの僅かの時間にすぎず、繋がらなくなったようだ。

鹿丸は都会の夜の灯りを見ながら、祈るしかなかった。



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