夜中、鹿丸は刑事とパトカーへ同乗するはめになった。
あれから、鹿丸は刑事とは別の部屋で仮眠を取っていた。
そして、丁重に起こされ、車に乗せられ、この事件の見解を車中で語られていた。

「…脅迫事件というのは昔はよく有ったのですがね。
今は公衆電話の数が減り、さらに電話の逆探知がすぐ出来ることと、携帯の普及で個人情報がすぐ分かるので、減っているんです。」

刑事は部下に運転させながら言った。

「身代金を手渡す時点で、警察に捕まるケースが多く、この国での成功率は0 %と低い。
身代金を銀行振込するにも、一日の引き出し限度額が低く設定され、犯罪の抑止力になっています。
もちろん警察に届けず個人的に金を受け渡して、人質解放という水面下の事件はあったでしょうけどね。

ただ、今回の脅迫事件は、まず脅迫状は郵送ではなく病室に持ち込まれたのか、公的機関での履歴がまったくない。
そして人質の本名、携帯No.は分からず、とにかくGPSが使えない。犯人サイドからは何の連絡もない。
それに加えて、飛段さんが警察に知らせない、金も用意できたか分からない、ときた。
極めてアナログな事件と言えます。
今は関連する場所の防犯カメラの映像を分析しています。
今から腹ごしらえをして、すぐ向かいますので。」

「…あの…どういうことですか?…」鹿丸は訳が分からない。
仮眠の間に何か分かったのだろうか?

「飛段さんの携帯が音信不通だったのですが、GPSで先程位置が特定できたのです。
そして、事故車の犠牲者は、飛段さんではないと、情報が入りました。」

「…無事、…なんですか?…」鹿丸は座り直した。急に、周りの景色が色を取り戻したように見えてきた。

「無事なのか、は不明です。早速、今から向かいましょう。」

「…どこに…?」

「ヘリポートにです。乗り物酔い、しませんか?」

「大丈夫です、持ってますから。」

鹿丸は、鹿狗のくれたチュアブル(酔い止め)をポケットから出した。



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