夕方、飛段は風呂から上がって、夕飯にありついていた。
点滴は減らされ、少し体力は戻ってきた。
しかし体が鈍っているのは確かだ。昨日、鹿丸と訳の分からない連中に追われて走った時も、かなり足が遅くなっている気がした。呼吸器はなくても大丈夫だが、手放すと息苦しい。

角都と音信不通になってから狙われる頻度が高くなっている。

ホストをしながら、少し無理をして半年前から角都の助っ人で動いているからだろう、理由は様々、恨みも様々だろうが、過去の自分に戻る感覚がある。ホストの日常を忘れてしまっている自分がいる。

その時、ノックがあり、ドアが開いて
「……お茶のお代わりをお持ちしました。」と人が入ってきた。

茶なんか頼んでねえよ、と言おうとした時には、その男は音もなく飛段の後ろに回り込み、背中に何かを突きつけた。

銃だ。金属の重さを感じる。

「…声を出すな。外に出ろ。」

飛段が、寝間着では行けないというと、さっさと着替えろ、と手振りで言う。

飛段はゆっくり着替えた。
昨日、角都を救う為に準備はしてきた。
脅されるのは想定外だが、どうせここには長居するつもりはない。すぐにでも角都を助けに行かなければ。

食事中で、患者は皆それぞれの部屋にいる。医師たちも、待機中なのか姿は見えず、病院の受付も終了していて、閑まり返っている。

飛段と男は、誰も居ない廊下を連れ立って歩き、外に出た。
飛段をおしこむと、車は急発進した。




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