「…即死した男は、現在行方不明の男の雇ったSPだったということか。
飛段という男は自分は仕事中で、何が起こったか分からない、撃った者がいたかどうかも知らない、と言っていた。
だとするとSPは誰に発砲したのか。飛段を狙ったとしてもだ、飛段は銃など所持していなかった。
SPを殺した奴が必ず居たはずなのに、指紋は、あの部屋からは見事に2人分――飛段と、飛段の客の分しか出てないそうだ。
足跡は…識別が難しく、人数の把握は出来ていない。
しかし、ルームサービスとかで、あちらから動きがあれば途中からあの部屋に入れるが…」刑事が言うと、
「…シャンパンを注文しているはずです。」と部下が答えた。
「…シャンパン?
グラスは?…そうか、散弾銃で粉々か。
君はあの部屋にシャンパンを運んだ者を洗え。
私は病院に行って、もう一度飛段に確認してくる。嘘をついてる可能性がないとは言えない。」
刑事は動き出した。
その頃、開店前のバーカウンター。
「…飛段脅しに行って発砲して逮捕されただと!
あんな、組の者でもねえチンピラに頼むからだ!」一人が怒鳴っている。
「素性知られねえよう、そうしたんだろうがよ。」
もう一人がまあまあ、となだめるが、怒った男は、馬鹿が、撃ってどうする、なんだってそんな間抜けなことが出来るんだ!!とさらに逆上している。
そいつは、適当にそこにある酒をあおってもう一人にこう告げる。
「ボスが行方不明なのは、必ずあの飛段て男が関係してるはずだ。逮捕された奴は放っておけ、
こっちの素性は知られてねえからな。
早く誰か行かせて飛段脅してボスの居場所を吐かせろ。
なんならヤッちまってもいいぜ。」
なだめた男は、分かった、と頷いた。
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