エントランスを抜け重いドアから外へ出ると、黒いコート姿を捜した。


夜明け間近の冷気が頬を刺す。

ほんの少し前に出たはずなのにどこにも飛段らしい姿は見当たらない。


鹿丸は角を曲がって他の通りを探しに行った。


「…奴は?」

低く、くぐもった声が細い路地の闇で聞いた。

「…店の仲間だ。」

答えたのは飛段だった。

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