「…だいぶ、回復しているようで、何よりですね。」
昼食前に、再び聞き込みにきた刑事が挨拶すると、飛段は煩そうな顔をした。

昨日、鹿丸が帰ってから、さすがにやり過ぎた、とまんじりもせず夜を明かしたせいで、今日は眠い。
寝ていた為に、朝飯も食いはぐれた。


(あと期限まで数日だ。
角都の安否も分からねえのに、なんだってこんな時に警察が来るんだ、クソ!)

「…ホテルで撃たれて、病院でも襲撃されましたね。
その狙撃者ですが、逮捕しました。

しかし、ホテルで撃った男とは無関係でした。
何か個人的に怨まれていることとか、ありませんか?」

「…ありません。」

そう答えるしかないのだ。怨みなど、今までに死ぬほど買っているのだから。犯罪歴が暴かれたら、望みはない。
今、捕まったら、角都への道は完全に断たれてしまう。

それだけは避けなければ。なんとしても、あの場所に行かなければ。

「…ホテルで貴方を撃った男は即死でした。
では、病院で撃ったのは違う人間ということになる。
やはり原因は貴方にあるのではないか、と、思ったのですが。」

(俺が知りたいって!なんで狙われたのか!)

ちょうど、昼食の時間らしく、いい匂いと、各部屋に届ける係の声が聞こえてきた。

「…刑事さん、俺、朝飯抜きなんで、すみませんけどまたにしてもらえませんか?」

死にそうな顔でそう言うと、刑事は、分かりました、と言い、供の者を連れて出ていった。


飛段は昼食にがっついたが、ふと、刑事の言葉がよぎった。

――ホテルの男とは無関係……。

最初の、俺たちがカモにしようとしたターゲットの護衛は死に、角都が拉致され、脅迫状が届いた。

そのあと分からない奴から襲撃された。
脅迫した奴が、撃つだろうか。俺が死んだら金は入ってこない。やはりその線は違う。
ホテルでの1件は新聞にも載ったし、TVでも流れた。
それが原因で、入院先が判明し、怨みを持つ他の者に晴らされそうになった、というなら分からないでもない。

それにしても、ここに来るのはあの刑事と鹿丸しかいねえなあ。

いや、あいつはもう来ねえか。

そんなことを思いながら、飛段は好物のスペアリブを頬張った。



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