その時だった。ドタドタと数人が走ってくる音がした。
「…どいて!治療します、外に出て!」
騒ぎを聞き付けた看護師たちが諸々の器具を持って駆け込んできたのだった。鹿丸は廊下に出された。
非常事態だし、錯乱しているかもしれないのだし、鹿丸と呼び捨てされるのも別にいい、先輩とはいえ俺が年下なんだから今までが不自然だったのかもしれない、と思いつつも、さっきのドスの効いた声が、耳から離れない。
まるで、ヤクザ者のようだった。
飛段が返せと言った手紙が関係しているのかもしれない。
いけない、と思いつつ、もう一度見てみる。
¥80000000-、そして命云々と書いてある、この手紙の期限には10日ほど日があった。
(…脅迫されてるんじゃねえか。)
ゆすられるだけの縁者が飛段にいるってことか。
撃たれて、また狙われて、そして脅迫。 裏が複雑な気がした
差し出し人はない。あるのはあの印だけだ。
あれは確か。
(…親父が持っていた指環の字とそっくりだ。)
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