「…首尾は?」
「…上々です」
「こいつはどうします?」
「生かしておけ……殺さねえ程度にな」
ぼんやりした頭に、そんな会話が響く。
時折、切れかけた蛍光灯なのか、ジジ、ジと音がし、闇と仄かな明かりが感じ取れる。
目の前がやたら暗いのは、このきつい目隠しのせいだ。
釣られた腕がだるく痺れている。
殴られたように体が酷く痛む。血の匂いが、角都を現実に引き戻した。
気を失ったらしいが、どれくらい時間が経つのか。自分でも分からなかった。
――狩られたのか。
やはり単独行動は避けるべきだった。
ターゲットはどうした?換金は?
記憶を遡ると、残念ながら換金する前に奇襲に遭ったらしい。
そして、俺がまだ生かされているということは、……
「…あいつは必ず来ますぜ」部下らしい声が言うのが聞こえる。
「…評判ではめっちゃそそる奴らしいですよ。」別の声がする。
「今までさんざん煮え湯を飲まされてきたからな。
こいつを餌にすりゃ、何でもやんだろ。
借りはたっぷり返してもらうぜ。
金も、体も、な。ハハハハハハ」
狙いは飛段か……!
ターゲットを奪われ、換金は叶わず、それに飛段まで奪われたら、俺は。
(……来るな、飛段。…罠だ。)
唇を動かしたが、乾いた叫びは届くはずもなかった。
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