脅迫状だった。

角都が、囚われている。

誰に?差し出し人は分からない。

貴様の相方、という言い方。
少なくとも、角都と飛段がコンビを組んでいたことを知る者だ、と飛段は推察した。
同業者の匂いがした。

換金に行って、何かあったのだ。


もう一度、封筒の印を見る。

紅い印は、確かに角都の指環の文字だが、少し滲んでいる。
そしてそれは、血の色にさえ見えた。

指から無理矢理外された指環が、数人に押さえ込まれた角都の傷口を抉り、まるで血判のように封筒に押されたのが見えた気がして、飛段はギリ、と唇を噛んだ。


闇組織に属し、ターゲットを狩り、多額の報酬を受け取る。腕次第で大金が転がり込んでくる。
それは、二人にとって、これほどの天職はないと思える仕事だった。

が、同時に敵も多い。
特に、「狩る者」である同業者はお互い容赦しなかった。
狩った者が、別の組織に獲物を横取りされ、標的にされるなど日常茶飯事だった。


角都と飛段が生きてきた過去は、そんな無法で物騒な世界だった。



ーーーこのターゲットさえ換金すれば、この世界から足を洗える。自由になれる。


角都がそう言ったことを信じていた飛段だったが、
もしかしたらそんな未來など、この世界に身を投じた時点で、失くしたのかもしれなかった。


(ここに行かなければ。)

――角都を、救わなければ。管巻いてる場合じゃねえ。

飛段は誓った。


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