鹿丸は身分証明書を見せる約束で、フロント係に部屋のドアを開けてもらったが、その間ものすごく時間がのろのろと経っているような気がした。
いつになく急いで身仕度をした。
女はベッドルームで寝返りを打ったが、まだ起きそうになかった。
部屋を出ながら、携帯を取りだし、馴染みの花屋にTELした。もう遅い時間だが、多分鹿丸の電話には出てくれる筈だ。
「悪ぃ!ちょっと頼まれてくれないか?
○○ホテルの2209号室に、花を…うん、そうなんだ、メッセージつきで、何がいいかな、……そうだな蝶児!それでいい。サンキュ!いつもすまねぇな!」
プツッとTELが切れ、電話口の蝶児は、店長のいのに不思議そうに言った。
「……鹿丸が物凄くマシンガントークしてた。…何かあったの?」
私が知る訳ないでしょ、鹿丸がこの時間に花束頼むのは、贈って詫びを入れる為なんだから!と店の奥でいのが言っている。
エレベーターホールまで歩きながら1つ用事を済ませた鹿丸は、ロビーで精算を済ませ、待っていた警官と一緒に署に向かった。
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