ターゲットが行為の前に必ずシャンパンを頼むのは事前に調べて知っていた。

しかし、最中にどうサーブするかは…、
さすがに百戦錬磨の角都でも心得がない。
いや、ホテルマンなら気を利かせ、すぐ退室すべきだろうが、
今、肝心なのはどうサーブするかではない。

自由への道、ターゲットの捕獲。そして飛段の解放だ。
サイドテーブルにグラスを運ぶと同時に仕掛けるしかない。

飛段は戦闘モードの角都を見、ゾクリとした。

(…惚れ惚れするぜ、その顔…!)

角都は「シャンパンこちらに…」と言いつつ、素早くターゲットの死角に入った。

飛段を貪るのに躍起になっているターゲットは多分聞こえていないのだろう、自身が高揚したのか、飛段の足を持ち上げようと体勢を変えてきた。
とっさに飛段は手首を返して鎖をターゲットの首に巻き付けた。
両手で絞め、思いきり相手の動きを止める。
すかさずターゲットの首筋に角都が何かを打った。麻酔か弛緩剤だ。角都のやることだ、多分足はつかない。

ターゲットは口をパクパク動かしたが、無駄だった。
次第に体がいうことを聞かなくなり、飛段の上に伸びたまま、ただ息をするだけで動かなくなった。

捕獲成功だ。

角都はターゲットの脈をとり、生きてはいるが意識が朦朧としているのを確かめると、飛段の上から無造作にターゲットを取り除き、絨毯に転がした。




[*prev] [next#]

[page select]100





top










人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -