「…ん……ッ」

ターゲットが飛段の顎をぐっと掴み、自分の胸元に引き寄せた。

次の瞬間、飛段はカチ、カチリという音とともに、両手首に冷たくかかる重さを感じた。

ーーやられた。手錠?鎖までついてやがる!
これがこいつのスタイルか!?!ひでえ。



鎖をガチャガチャ鳴らして、抵抗するのを見てターゲットは嬉しそうに飛段に覆い被さってきた。

「んぁ…」

…角都ー!早く…早く来いー!







ルームサービスのワゴンを押す男は、他のスタッフに足早になるのを悟られないよう、無言で出発した。

最上階の目指す部屋の前に着くと、見張りがいる。

見張りを巻くことなど朝飯前だが、今は中の様子が気にかかる。とにかく、一刻を争うのだ。

頼んだシャンパンを確認すると護衛はベルを押し、10秒ほどしてボーイを部屋に通した。

「シャンパンをお持ちしました。」

(!)

その声に、飛段は不利な形勢からなんとか持ち直そうとした。

ターゲットに攻められるのを、頭を掴んでなんとか凌いでいる状態だ。



一方、角都の目はようやく室内に慣れてきた。

美しい調度品がしつらえてある暗めの室内に、白い肢体が浮かび上がっている。

鎖に繋がれ抵抗する飛段の姿は、そそられるものがあった。


飛段の目が、遅えぞ、角都!といっている。

「は…」(早くしやがれ角都!)

角都はシャンパンとグラスを準備し始めた。



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