バスローブをゆるく羽織り、部屋に戻ると、視線が肌を這うのが分かった。
ベッドで待つターゲットの興奮した様子に、さらに冷静になる自分を飛段は感じた。
――変態野郎め。…俺は興奮されると冷めるタチなんだ。
俺をその気にさせたけりゃ、まず黙ってろ。興奮なんておくびにも出すな。
俺はストイックな奴が好きなんだ。……あいつ……みてぇな――。
「シャンパン頼んでおきました」ふいに声がした。
まだ居たのか、とターゲットが少しイラついた声で言ったが、部下は構わず言葉を続けた。
「私は護衛ですので。」
あの部下がいては厄介だ。
敵の人数は一人でも少ない方がいい。
自分は丸腰だ。
それに、見せ物じゃあるまいし、部下にまで俺を晒さなきゃならない理由なんてない。
飛段はベッドに腰掛け、ターゲットの手を取ると、言った。
「契約は貴方とだけ。」
そして指に唇を押しあて、ターゲットが呻くのをいいことに、指を口に含んだ。
「…っ、おい、は、早く出ていけ!お前は外で護衛すればいいだろ……早く行け!」
ターゲットは命令を下し、部下は仕方なく部屋の外に出された。
――角都。後はあんたがあれで来てくれれば、うまくいく気がする。
そう思った刹那、ターゲットが言った。
「続けてくれ。最高の舌だ…」
飛段は頷き、じっとターゲットを見つめながら指を舐め始めた。
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