――1時間前――。某所。


「……つまりな、飛段、」

「賞金首と寝ろってことだろう?」飛段が畳み掛けるように言った。

「寝ろとは言ってない、誘い込めと言っているだけだ。後は俺に任せればいい。」

「だからこないだ、俺と寝たんだな。」

角都は無言になった。
ずいぶんな言われようだ。そんなつもりが微塵もなかったのはお互いが良く知っているはずだった。

「何でもねぇよ。いいんだ角都、ちょっとからかっただけだ。」

飛段は屈託なく笑った。


「俺はあいつを始末するだけだ。お前には指一本触れさせはせん。」
真顔で言う角都の言葉に飛段は嬉しそうに答えた。

「…それが聞きたかっただけだ。」


飛段が角都の指に触れると、角都は眉をひそめたが、それはいつものことだ。
何をしてもため息や眉根を寄せられ、あげくには怒られる。
けれどそれがなくては角都ではない。
むしろ、いつも通りのリアクションで安心できる。


「これが終われば、俺もお前も自由の身だ。」

深いピンク色の飛段の目をじっと見つめて角都が言う。

俺たちの枷を解くことができるほどの、
それほどでかい獲物なのだと、飛段は知った。
さすが賞金首、そしてそれに目をつけるとは、さすが角都だ。
いつもハイリスク・ハイリターン、リスクは高いが一番効率の良い標的を選ぶ。




―――自由になったら……


「角都と旅がしたい。」

「金もないのにか。」呆れている角都を面白そうに見て飛段は言うのだった。

「また稼げばいいさ。何でも出来る。角都がいてくれたら。」

角都は少し笑った。その笑顔をみるのが心底好きだと、飛段は思った。


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