何日か後。
その日は例の客とアフターの予定だった。
店から連れ立って出ると雪が舞い始め、客はロマンチックな夜の始まりとでもいうような偶然の演出を嬉しそうに受け止め、鹿丸を振り返った。
「…鹿丸、今夜は特別な夜にしてね」
「…ご希望のままに」
彼女のリクエスト通りの部屋の鍵をフロントで受け取り、彼女を誘ってエレベーターに乗り込もうとした鹿丸の目は、暗めのロビーの端に佇む二人の男の姿を捉えた。
(…飛段……)
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