過去外伝2* 飛段


角都ほど俺を分かっている男は居ない。

甘く低いあの声で囁かれると、腰が砕けそうになり、とくにベッドの中では自制が効かなくなる。まるで麻薬だ。あれにハマったらもう後戻りは出来ない。俺のツボを知っていて、攻めてくるとしか思えない。キスで蕩け、首筋にきつく紅い跡を付けられ、解してもいないのに後ろを指で拡げられ、とろけそうな痛さに喘ぎを漏らすと、その唇を塞がれる。

「…もっと………欲しいのか…」


その声にゾクゾクする。愛撫されながら囁かれると余計良くて、…ん…とか…ぁ…とか短く喘ぐ声しか出てこない。

はしたない声を聞かれまいと歯を食いしばったのも束の間、逆に角都を容赦なくさせるだけだった。感じたまま喘ぐ自分を見るのが角都は好きなのだ。それに気づいてからは、快楽にさらに貪欲になった。

指でゆっくりと勃起させられたモノをなぞられると、快感が波のように押し寄せてくる。角都の肩に歯を立てるしかない。良すぎて声が上ずる。
角都がフィニッシュを迎えても、収まらない、点けられた火は身体中に飛び火する。
まだ欲しい。まだ離さない。何しろ角都は麻薬なのだ、俺にとっての。


狂っているのかも知れない。
時々、憂いという名の陰りが、その翠の瞳に一瞬、影を落とすからこそ、彼の名を呼び、何度でも倒錯した行為に耽るのだ、と思う。

「…ハネムーンはまだ始まったばかりだぜ?」

様々な容疑は、証拠不十分で不起訴となり、闇で稼いだ金で借金は返済した。
全ての枷という枷が解かれた今、やっと念願の旅に出たのだから、夜といわず昼といわず角都と愛し合っていいはずだ。

角都に馬乗りになり、唇に濃厚なキスをする。
翠の双眸、乱れた黒髪、筋肉質の浅黒い肌、全てが愛しい。

下へ下へ降りていき、果てた後のモノをソロリと舐め、口に含もうとすると、シャワーを浴びようと言われた。
先にガラス張りのシャワールームで身体を濡らし、角都が来るのを待つ。
ああ、早く。疼いて仕方ない。
手錠でも拘束でも、暴力的に犯すようなシチュエーションでもなんだっていい。角都に愛されることは最高のエクスタシーなのだ。

深く突かれたかと思うとイイ所で寸止めで焦らされる。イカせてほしいのに。

「…どう、……して欲しいんだ……?」

こう言われるのが堪らない。
これはもう俺の性癖なのだ。認める。俺は角都の声でイケる。

「……か……く…ず………!………ッ……………イ…カ……………せ……、…」
そう言った後はもう容赦なく突き上げられ、声は抑えられなくなる。

お前は俺のものだ、角都。誰にも渡すものか。

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