過去外伝1* 角都

首筋の紅い愛撫の跡にかかる黒髪を揺らし、激しく突くと、その度に喘ぎを漏らす唇。その吐息さえ奪いたくて貪ると絡んでくる舌。きつく目を閉じている顔に欲望が尽きることなく沸き立つ。

「…もっと………欲しいのか…」

「……ん…ァ……角都っ……」

身体を引き寄せようとする飛段の腕を掴み、さらに腰を深く沈めて何度も突く。その度に喘ぎが好色さを増してゆく。うっすらと開いた目が恍惚とした表情で角都を見上げている。
自分だけを見ているその美しい目が堪らない。
それをまだ支配したくて、指でゆっくり飛段自身をなぞり、次第に強く扱くと、後口がさらに締まり、飛段が角都の肩に歯を立て声を上げた。
角都は興奮を押さえきれず激しく突き上げ自身を解放した。飛段の白濁した精液は角都の腹を濡らし、はき出された熱さは内奥に拡がり、溢れ出すものを受け止めてもなお、腰の震えと、疼きは止まらない。


「……い…い…………角都………あぁッ……」


狂ったように俺だけを見て俺だけを愛する飛段が、時々堪らなくなる時がある。

俺ではない誰かを、こいつが選んだら、この狂ったように愛撫を求め、欲望のまま貪る顔をそいつに晒すのだろうか。

角都はベッドに仰向けに寝そべり、息を整えながらそんなことを思った。

どうかしている。

明日生き延びれるかどうか分からない時は、こんなことを考える余裕はなかった。

なんとか追求の手を逃れ、例の稼業で稼ぎ、膨れ上がる借金の利息までも全て完済し手術代も払い終えた。
これから先何をするか、そんな時だからこんなことを思うのかも知れない。


飛段が起き上がり、角都に優しく口接けしてきた。
普段は軽く装っているが、相方の機嫌に関して、飛段はかなり敏感な男だ、ということを角都は知っていた。

角都の瞳をじっと見つめ、飛段はにやりと笑った。

「…ハネムーンはまだ始まったばかりだぜ?」

銀髪をかきあげ、角都に馬乗りになると、唇が肩を、乳首を、ついばんで段々下に下がっていく。


猛るモノを抑え、シャワーを浴びようと言うと、いいぜ、シャワーで濡れながらヤルのも一興だ、とまた目眩がするほど高揚しそうなことを言う。

先にシャワールームに入った飛段が、壁に手を突き、勢いよくシャワーを出し、髪を濡らし滴る水滴越しにこちらを見ている。

脚を開かせて後ろから突くと、腰を突き出して喘ぐ。淫らな、欲情をそそられる声が響き、角都は飛段を一方的に犯しているような感覚を覚えた。

かなり激しい、濃密な、自虐的な、傲慢な、それでいて最高のエクスタシーを得ることができる愛し方は、飛段としか出来ない。それでいいのではないか。


角都は繋がったまま律動を続け、飛段の乳首を指で翻弄し、飛段の濡れた顔をこちらに向けさせ、唇を吸った。
飛段の眉根が寄せられているのは、もうイキそうになって我慢しているからだろう。

「…どう、……して欲しいんだ……?」

飛段がイカせて欲しいと言うまで動くのを止め、飛段を焦らす。

「……か……くず………!……イ…ッ………」

この声が堪らない。お前は俺のものだ、飛段。誰にも渡さない。


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