急に神経が尖ったように目覚めた。
忍としての本能はまだ正常なようだ。

辺りを見回すが
声の主の姿はない。


けれど空耳ではなかった……。


人を馬鹿にしたような笑い声が確かに聞こえたのに。


あの瞳。

笑いながら斬りこんでくるその奥に底無しの狂気をたたえているあの瞳が、どこからか見ている気がする。






「アイツと最期まで繋がってたのは俺だぜ

お前じゃねえ」



胸が疼いた。


たった今聞こえてきた"言葉"



ソレに斬られた傷口から

赤いモノが噴き出して

辺りの闇に花が一つ
二つ、咲いたようになってゆく


それを夢現で見ている俺がいる。


ざわざわと青ざめた記憶が甦る。



「…アイツと最高の痛みを分かち合って

逝かせたのは俺だぜ」






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