冷たい。

いつのまにかそぼ降る雨にさらされている自分の手が、冷えて痺れているのに気付く。


まただ。

また迷い込んだまま戻れなくなるような感覚に陥ってる。
いや、それを―――出口のない螺旋階段をいつまでもいつまでも歩いているような感覚を―――求めてここに来ているのではなかったか。


それでも
いつか必ず…
ここに来なくても済む日が来る。


それまで俺は狂わない。
絶対に。


「…そう思ってんのはお前だけだぜ、木の葉のガキ」



忘れられない声がした。

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