薄暗い空から落ちてくる雨粒が地面に染み込んで次第にあたりが濡れた景色になっていくのを見ていた
気力は湧かず
思考が停まった頭の中で
雨の雫が細い流れとなって地下に流れるさまをゆっくりと想像している
まんまと葬られたあいつの躯の脇を
血を濯ぎながら流れていく赤い水
恐怖に怯えた最期の顔を
起爆札に縛られたあいつの唇がわずかに震え何か呟いたあの時を
自分だけの為に脳内でリピートしてみる
助けなんか来ねえぜ
当たり前だろ
相方はお前に半分殺られたじゃねえか
そんなにあいつが居なきゃってんなら
馬鹿みたいに俺の罠にハマッてんじゃねえ
自分を呪うがいい
お前も
アスマを護れなかった俺のように
自分を呪え
雨が口に流れ込み
咳こんだ俺は
自分が壊れたように口を開けて笑っていることに気付いた
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