九州から転校生がきました。
千歳千里くんと言います。
190センチを超える長身に、独特な雰囲気を持った男の子です。
ぶっちゃけ、その千歳くんに惹かれてたり…
その彼を、最近この場所でよく見かけます。
「お〜お〜、むぞらしかね〜」
四天宝寺中にほど近い公園。
帰宅部の私が通りかかる頃、彼はそこでノラ猫と戯れている。
彼の周りには近所中のではないかという数のノラ猫が。
どうやら彼はノラ猫に大人気らしい。
『類は友を呼ぶ』とは言うけど、まさに自由奔放な彼に、何もにも縛られないノラ猫たちが寄ってきたという感じ。
立ち止まってそれを見ていると、そのうちの一匹がこっちを振り向いて小走りに駆けてきた。
そのまま私の足元に寄り添ってくる。
にゃぁ。と一鳴きして私を可愛い瞳で見つめた。
猫の扱いなんてわからないからおろおろしていると、上から声が降ってきた。
「その子、アンタに抱っこして欲しかとよ」
特徴のあるしゃべり方に顔を上げると、そこには千歳くんがいた。
「うわぁ!!」
「抱き方はこうたい。はい、抱いてみんね?」
見ているだけだった千歳くんの突然の出現に戸惑う私を気にせず、千歳くんは一度自分でその子猫を抱いて見せると、そのまま私に手渡した。
流れで私はその猫を受け取る。…しかなかった。
「お、うまかね。コイツも満足っち言うとるばい」
私の腕の中にいる子猫の喉を優しくかいてやる千歳くんに、子猫はゴロゴロと鳴いた。
さっきまでの戸惑いなんて忘れて、私もその和やかなムードに浸った。
[*前] | [次#]