「げほっごほっ…すまんね真琴ちゃん」
「謝るなら早く治してよね」
「んー…了解たい…」
某日。
アホがアホやのに風邪引いた。
一応コイツは私の彼氏で、コイツは寮で一人暮らしだから私が面倒を見ている。
寮母さんも千歳のダメ男さをよく知っているので、看病のために入るのを許してくれた。
寮母さんにも知られてるってどうかと思うぞ千歳。
「はい、服脱いで。ばんざーい」
「ばんざーい…」
ちなみに千歳はさっき起きたところ。
寝てる間にかなり汗をかいたみたいで、気持ち悪いとワガママを言うので体を拭いてあげる。
あぁ、かいがいしいこと。
「熱くない?」
「ちょうどよかー」
お風呂場から拝借した洗面器にお湯を張り、タオルを絞っては拭きを繰り返す。
「真琴ー」
「なに?」
黙々とその作業をしていると、千歳が弱々しい声を上げた。
その声にもしかしたら予想以上に弱ってんのかな、とか思いながら返事をする。
「俺がおじいちゃんになってもこげんしてくれる…?」
「なにそれ、プロポーズ?」
「うん」
丸まった背中にそう問えば、弱々しいながらもはっきりとした返事が返ってくる。
いつもら飄々としてフラフラして、何考えてるかよくわかんないのに、彼も弱ると言葉に出さないと不安になるらしい。
その広い背中が愛しく思えた。
「真琴…」
「ばか。風邪治すことだけ考えてなさい」
大きな子供の小さな本音
END