「真琴ちゃーん」

「なんね?」

「色気ふりまくのやめてくれん?誘っとると?」

「誘ってなーい」


スカートをたくし上げ、足を組んで、ナマ足に下敷きで風を送る真琴ちゃん。

暑いのはよくわかるたい。

だけんがって、そんな煽情的な恰好しなさんな。

ここ教室。

餓えた中坊の視線の的たい、それ。


「真琴ちゃん、足ばお行儀良くせんね」

「い・や。暑い」

「アイス買いに行っちゃるけん」

「マジ!?おおきに千里ー。でもブツがきてからな」


…6分。コンビニからアイス買って帰ってくる最短時間たい。

6分も、真琴ちゃんのナマ足が他の野郎の目に触れとるとか耐えられんばい。

しかも俺がおらんときに。

しょうがなか、最終手段、行使させてもらうけんね…?


何も知らん真琴ちゃんの脇腹に手を入れて、たかいたかいをする。

そのはずみで、下敷きが床に落ちた。


「な、何するん!?早よ降ろしいや!!」

「い・や・ば〜い」


軽々と真琴ちゃんを抱き上げて、とりあえずスカート下ろすことには成功。

あとは…

真っ赤になって叫ぶ真琴ちゃんを、さらにぎゅっと抱きしめる。


「真琴ちゃん、しっかり掴っとくとよ?」

「降ろし……え、何で…ってきゃぁああああ!!」


真琴ちゃんをだっこしたまま教室を出て走りだす。

階段2段飛ばしは当たり前、上履きのまま外に出た。


「せ、せせせせんり!?」

「真琴ちゃん涼しか〜?」

「涼しい言う前に恐いわぁ!!誰がうち抱えてアイス買いに行け言うた!?」

「お、なんでわかったと?以心伝心?愛の力?」

「アホ!!お前の脳みそくらいお見通しや!!」



イナセな彼女




彼氏の苦労もわかってほしかと。



END


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