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「パパはなにをしてる人なの?」
「海賊だ」
「シャンクスといっしょ?」
「まぁそんなところだ」
正確には七武海と四皇では立場が違うのだが、ノア相手にその説明は難しいだろうとミホークははぐらかした。
「パパのおなまえは“たかのめ”って言うの?」
「“鷹の目”は通り名だ。名はジュラキュール・ミホーク」
「じゅ…じゅら…?」
「ジュラキュール・ミホーク」
「じゅらきゅーるみほーく!!」
ノアと鷹の目を見ると、鷹の目はノアの質問攻撃にあっていた。
初めて会う父親だ、ノアの気持はよくわかる。
だがそれに素直に答える鷹の目は、ちょっと異様だった。
「パパはママがすき?」
幼心の純真から出た言葉だということはわかっている。
しかし、とんでもないことを聞いてくれたと、皆一斉に噴き出した。
「ちょ、ノア…!!」
それにアンナも慌て、ノアを止めようと声をかける。
子供の純粋な興味とは怖いものだ。
「ぼくはママだいすきだよ。パパはママがすき?」
しばし、その場に沈黙が流れる。
鷹の目の次の言葉に、その場にいる全員が息をのんだ。
「好かんのなら、お前を膝に乗せたりはせん」
その言葉にアンナは顔を真っ赤に染め、他のクルーたちは一斉に二人をはやし立てた。
鷹の目をよく知る幹部たちは、鷹の目の言動に心底驚いているようで、言葉も出ないようだ。
そんなギャラリーを気にもせず、鷹の目はノアを見つめる。
その眼は、いつもよりはるかにやさしいものだった。
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