「あれ?千佳姉ちゃんもう帰ったの?」

一旦阿笠博士の家に行っていたコナンが再び工藤邸に帰ってくると、もう千佳の靴がなかった。
書庫で片づけをしていた蘭に、それを尋ねる。
書庫に居たのは蘭と昴だけで、園子の姿は見えなかった。

「うん、千佳さんなら帰ったよ」

「そうなんだ。なにか用事?」

コナンがそう聞くと、蘭の顔が一瞬で華やいだ。
その輝いた表情に、思わず引き気味になる。

「今晩は安室さんとドライブデートなんだって〜!」

しかも夜景も見に行くんだって!羨ましい〜!
蘭はそうキャーキャー言いながら、持っていたはたきを豪快に振り回した。

埃が舞い散り、蘭の周りが白くなる。
その惨状に、蘭は先ほどとは違う悲鳴を上げた。

「安室さん、いい車持ってるもんね…」

あの白いスポーツカーでエスコートされて、嫌な気分になる女性はいないだろう。
安室にドアを開けてもらったり、ハンドルさばきに見とれたり…そんな千佳が容易に想像できた。

「あはは…仲が良くてなによりだね…」

コナンはそう独り言ちた。
だがコナンの近くにいた昴は違うことを思ったらしく、神妙な顔で唸り声を上げる。

「どうしたの?昴さん」

「いや…。ドライブデートで夜景とは、彼は手が早そうだと…」

「す、昴さん!?」

彼の爆弾発言を蘭も聞こえていたらしく、コナンと蘭は同時に声を上げた。

「もう昴さん!なに言ってるんですか!?」

真っ赤な顔で昴をたしなめたのは蘭だ。
コナンをちらりと見て、「子供の前なんだから!」と言う。

そんな蘭に、昴は「ああ、すみません」と悪びれもなく言った。

昴には、ときどきすごくびっくりさせられる。
まだ赤い顔を隠しもせず、コナンは昴を見つめてしまった。

「しかし安室君はそういう女心をよくわかっている…。私も参考にしたいものですね…」

どこで発揮するつもりなのか知らないが、深く感心していいものか。
誰か昴さんを止めてくれ、そうコナンは思った。




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安室さんの恋愛事情は赤井さんに筒抜けです




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