◎買い出し中に
「先輩、こんなとこにいたんすか」
「あー、ごめんごめん。ちょうどマスカラきれそうなの思い出して」
「いいですけど。でも早く帰らないと、小南先輩にどやされますよ」
「それは面倒だね。でもいいのがなくてさ〜」
「いつも使ってるの、ないんすか?」
「そうそう。でもこの際だから新しいのを買ってみようと思ってさ」
「…違いがわからない」
「まあ男の子にはね。これがまつ毛の量が増えて見えるボリュームタイプ、これがまつ毛を長く見せるロングタイプ」
「はぁ」
「ちなみにブラシがアーチ型とかロケット型とかもあるのだ!!」
「説明はいいので早く選んでください」
「つれなーい。最近まつ育してふさふさしてきたし、今度はカールロックにしようかな〜。お!これなんて目力3倍増しだって!!これで私も三上ちゃんみたいなまんまる猫目に…!!目指せ上目遣い美女!」
「…帰りましょう」
「は!?勝手に取らないでよ!今の話聞いてた!?」
「聞いてました。もうじゅうぶんなので必要ないです」
「意味わかんないんだけど!?あと腕引っ張るな!」
「いいですから、帰りましょう」
「ちょっと、怒るよ!?」
「……」
「京介!!」
「もうじゅうぶん可愛いので、これ以上かわいくならないでください」
「…へ?」
「お願いします」
「……」
「何か言ってくださいよ」
「…はい」
この直後から烏丸の猛アタックが始まるとなおいい。
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