この広い宇宙で君に触れられた奇跡を笑わないで

※セクシャルな表現が出ます

 加減がわからない。引き金を軽く引くだけで、吹き飛ぶ光景が頭から消えない。あのビジュアルをつねに欲している。ネットの写真じゃ駄目だ。形で、ニオイで光景で、目のまで、今すぐ、そういう乱暴さが欲しかッた。グロテスクなもの、ひしゃげた肉片、血、中身、そういうものが自分の手で作られる瞬間、最高に気分が高まる。自分がこんな汚い光景を作ッたのだと、声を大にして言いたいくらいだ。まるで自分が芸術家になッたかのようである。そんな事はない。自分の性的欲求を発散しているだけなのはとッくに気付いていた。だッて気持ちが良かッた。何かを破壊するのは気分が良かッた。誰かにわかる?きっと俺の、僕の事なんて誰にもわからないしわかッて欲しくない。自分だけが理解していればそれで十分だ。
もッと乱暴にしてもいいんだよ壊れたりしないから、となまえは簡単に言うが、人間なんて生き物なんて簡単に壊れるし、吹き飛ぶ。ただなまえをめちゃくちゃに出来たら、とても気持ちが良いのだろう、とは思う。なまえの血を見てみたいし、吹き飛ぶところだッて見てみたい。彼女だけ特別なんてことはないから、汚くなッてしまうだろう。そうやッて、壊すことで、自分の支配欲をみたしている。なまえが肉片になッてしまッたら寂しいかもしれない、と頭でわかるので、妄想にとどめる。ただ彼女の血を少しくらいは見たかッた。
でも最近、そういう類いの壊すことより、なまえの気持ち良さそうな顔や、服の下の下着や乳房やそれ以上のものを見るだけで/想像するだけで、興奮してしまう自分に自分で驚いているし、ドン引きしている。俺ッて、変な性癖があると自覚していたが、好きな女のセクシュアルな部分を渇望するだけで、興奮するとは思ッていなかッた。おかしくなッたのかと星人を倒した時には、強い自分に興奮したし高揚したし生きてる感じが止まらなかった。でもそれはなまえとセックスする時にも言えることで、生きていると射精したとかなまえをむちゃくちゃにしたときに感じた。なまえの唇が、俺のものを口に入れたときの、背徳感。いけないことをされているようだッたし、正しいこととは思えなかッた、しかし射精してしまッたので、正当化された、自分の中で。ああ嫌だ、こんな自分がたまらなく嫌だと泣きたくなッたが、なまえは優しく抱きしめてくれたのでまるでなまえを犯すことを、犯したことを、許してくれているようだッた。合意の上だッたが、罪悪感はぬぐえない。そういえば、女の裸で抜いた事なんて無かッた。いつも血の海で興奮していた、だからか。
俺は、本当にどうしてしまったのだろう。人を愛するということは怖い。どうしても根底から不安が襲う。俺を置いて行くのではないかと。ママのように。そういう事を話すと、笑うだろうから、絶対に言えない。そんな事ないよ、となまえは笑うのだ。そんな事あるのに。
ああ、本当に俺はどうしてこんなにおかしくなッてしまッたのだろう。誰かをこんなふうに想う事があるなんて、おかしいし、気持ち悪い。なまえを考えるだけで、胸の奥がざわつくし、吐きたくなる。あいつが嫌いだとか、そういうわけではない。自分の感情が大きく動くのだ。本当に、どうしてだか、わからない。
隣で眠る、なまえの髪の毛を触る。滑らかだッた。そうした部分ひとつとッても、欲情する。なまえが寝返りを打ち、目を開く。オハヨウ、と寝ぼけながら喋るのでまだ寝ておけば、と冷たく言う。本当は早く起きて、俺を一人にしないで欲しい。俺を見ていて欲しい。だけれど、そう言ッてしまうのは癪だッた。俺ばッかり、なまえを好きみたいで、イヤだッた。なまえはどうだろう。俺を想ッて苦しくなるのだろうか。なるのなら、もッともッと苦しめばいいのに。その分、優しくしてやろうと思うから。
丈一郎くん、となまえの手が俺の手を握りしめる。その、優しい手つきに驚く。そのままなまえは俺にぎゅッと抱きつく。寂しい、と呟きながら、きつく、抱きついてくる。
俺も、と言いそうになるのを堪えて、俺はまた、そーかよ、と冷たく呟くのだッた。だけど、今度は、少し口角が上がッている。嬉しい、と思ッている。そんな自分がたまらなく、おかしかッた。


20130522ー0616
タイトル「彗星03号は落下した」さま
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