"ずっと一緒に喧嘩しようネ。"

お前らしい、言葉だった。それを聞いたときは思わず抱きしめた。しかしそんな約束は今破られる。ちりぢりに。

――行ってほしくないんだ。ただ、一緒にいたい。神楽も思っているはずなのに。

行こうという意志はしっかりと神楽のなかにある。親父と宇宙を駆け巡るらしい。神楽の目標は、なんだかんだ言って結局ハゲ親父――えいりあんはんたーなのだ。

涙が出そうになる。行くな、行くな、行くな。神楽の思いも関係なく、引き止めてしまいたい。我が儘だ。人間って生き物は恋をすると我が儘になるんだな。

身体検査をくぐり抜け、ベンチにふたりで座っていた。なぜ入れたかというと、無駄に別のチケットを買っていたからだ。ターミナルに入るためだけに。なんて馬鹿馬鹿しい。しかし、それほどに、一緒にいたいのだ。

握りこぶしひとつぶんくらいの感覚を開けて座るもどかしさ。俺は神楽にキスをして全身を愛撫したいくらいなのに、この空気は何なんだ。

「神楽、」

ジリリリリリ




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