とうに消えた、船。それと君。そらの果てまで飛んでった。もう君は手なんて届くわけもない場所にいる。そらは無情にもあかく染まり俺の涙を照らした。
ああそういえば、ひとりからまわりばかりしてた。つきあってから気遣いばかりして、笑顔を作る余裕もなくて悪態もつかなくなった。お互いにがちがちで言いたいことも言えなくてしたいことも出来なくて――なんともつまらないカップルだった。笑顔で好きと言い合えたなら、どれほど幸せだっただろう。
だけど君は笑顔など、俺の前では一度も見せなかった。記憶にあるのはただ涙と震える声だけ。それでもいとおしいよ。