知ってるわよ、わたしって可笑しいの。いたぶられるのが好きなのよ。グワア、て、身体が熱くなる。判ってる、こんなイカレた女、好きに成ってくれる人なんて居ないわ。わたしも、こんなわたし、嫌よ。でも仕方ないじゃない、体質だもの、性癖なんて治せないもの。
「全蔵、どうにかしてよオ」
柄にも無く、わんわん大声で泣いた。何でか判らないけれど、久しぶりに全蔵に会ったら泣きたくなった。でも、ジャンプにしか興味の無い全蔵は判ってくれない。コンビニのエロ本コーナーではSM物をつい探しちゃうし、そう云う道具もいっぱい持ってるのよ。夜は銀さんに汚い言葉で罵られながら乱暴に犯される妄想しながら眠るのよ。
「御免な」
「謝らないでよオ」
「俺があのとき、」
わたし、生まれたときからずっとこんなのじゃなかったわよ。学生時代は、清楚で綺麗な子って言われ続けた、し、そうだった。そのまま忍者として、就職して、或る任務で、しくじった。全蔵と、二人での、攫われた人を助けに行く任務だった。
「気付いてたら、御前、普通だったのに」
「それは関係無いわ、わたしは元からこんなよ、それに気付いただけよ」
嵌められた。人攫いなんて嘘。奴らはグルで、何時かの任務での仕返しだと。正直何時の任務だか、誰だか、覚えていなかった。数人の男に囲まれて、ビリビリ服を破られて、殴られて蹴られて、犯された。喘ぐと、淫乱、とか言われた。レイプされた。だけどわたしは、気持ちが良かった。ゾクゾクと、背筋を伝うような、快感。全蔵が来たときには、もう事後だった。次の日からわたしは、可笑しくなっていった。
「ねエ、メス豚って言ってみなさいよオ、罵ってみなさいよオ」
「‥‥メス豚」
「ほら、貴方は優しすぎるの、全然気持ち良く成れないの」
「俺達って、一体どういう関係?」
会う度、全蔵には抱かれた。抱いてと言った。今もそう。だけど、わたしたちの性癖はまるで違うから、わたしはいつも全蔵にお尻を打ってとか、噛みついてと要求した。全蔵は責任を感じてか、何でもしてくれた。だけどどこか優しかった。これじゃあまるでセフレだけど、それとも言い難かった。わたしたちはずっと付き合っていて、あの日を越えても、別れの言葉を言っていないから。
「わかんない、判んないわよオ」
「俺、好きだよ、御前が。御前どんなに成っても」
「貴方ブス専でしょオ」
「御前も、銀さんが好きなんだろ」
「でも、妄想じゃなくて実際に抱かれてるのは貴方だけなの」
多分だけど、銀さんは憧れなの。芸能人にキャアキャア言っている感じ。カッコ良くて大好きで、触れたいと思う。だけどそういう、熱狂的ファンの子にも、好きな人や恋人は居るでしょう。じゃあわたしと全蔵は、立派な恋人同士と云うことで良いのかしらん。



「全蔵、痣がつくくらいわたしを打ってよ」



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -