ぷく、ぷく、苦しげに口から気泡が洩れてるのは、わたし?あなた?わかるのは、息がつまるこの中が、わたしにはひどくディープなものだったということ。所詮、わたしはあどけない子供で、あなたは数多のことを抱える大人。だけどその広い差に、自分にはないその魅力に、惹かれたということをわたしたちは知っている。

「あなたは、裏切り者ね」その呼吸の困難な、あなたの腕の中、わたしは身を委ねながらつぶやいた。周りもぼやけて見えないその場所は、わたしに安らぎと快感と危険を与えてくれた。わたしは、幼い。「何でだ」「あなた、上司を裏切っているのよ」「知られなけりゃあ、良いことだ」そう、あなたは裏切ってない。完全に、隠蔽できているから。近藤さんもいつもの通り、それを制するあなたもいつも通り、貼り付けた笑顔のわたしもいつも通り。近藤さんは、わたしとあなたの関係なんてちっとも疑ってなくて、わたしとあなたの情事のことを想像もできないのだろう。しかし、その無知さが、わたしのスリルであった。わたしは幼く、馬鹿で、この危険に溺れてゆくだけ。そして、もし近藤さんがこれを知っても、わたしに何も損がないことが拍車をかける。あなたが困るだけ。わたしはそれをみて笑うだけ。「土方さん、わたし、あなたのこと好きよ」返事はない。それで良い。あなたもわたしも危険に溺れてる。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -