「お前は餓鬼でそれに女で命もそれを背負い続ける苦しみも知らなくて、そんな分際でナマ言ってんじゃねえや」
こちらをちらりとも見ず血反吐と共に彼が吐き捨てたその言葉はわたしにずしりとのっかった。わたしに反論する猶予は無かった。何故ならばその言葉は全部実際のことだからである。大人でなく男でないわたし。命の重みを知らないわたし。だから彼は、手前は戦うんじゃねえと言うのだ。

「女の何がいけないの、餓鬼の何がいけないの。それでもわたしは強いアル。お前程、いや、お前以上に」
「だから餓鬼は困るねィ。お前が幼くて強いからこそ戦っちゃあいけねえんだ。手前はその手で人を殺し続けられるのかい、正気でいられるのかい。手前はそれで狂っちまわないのかい」
「沖田が死んじゃうアル!」

わたしが叫ぶと沖田は黙った。げほげほ彼が咽せると、ぽたぽた血が垂れた。酷い怪我で物陰にいるのだ。わたしだけを逃がそうとしているのだ。

「死なねえよ馬鹿」
「酷い怪我アル。沖田が死ぬのは、嫌」
「逃げて、頼むから」

あかい瞳から目を離せなかった。真剣で、切実であった。だけど、それに答えることはできないのは、必然的だ。

「沖田は、ここにいてネ」
「オイ、行くな、神楽」
「沖田はもう動けないでしょう。わたしは、絶対大丈夫アル。待ってて」

沖田が震える手を伸ばしても駆けてく彼女の手を掴むことはできなかった。彼はそれを永遠に後悔した。



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