最近、沖田隊長が苛々しているようです。何故俺にそれが解るのかと云いますと、明らかに俺に対する理不尽な暴行が増加しているからですが。その上彼から副長への悪戯は最早その域を超えています故。当然のように苛々し始めた副長の八つ当たりも俺の負担に上乗せされております。つまり俺はぼろぼろに疲れ果ててるなうなのです。今風に云えば。

 今日は隊長とかぶき町の見回りです。が、俺の仕事は早々に忽然と姿を消した隊長を探し出すことでした。まったく、あの人は。

「隊長ー、いませんかあ」

 土方さんに怒られますよ、なんて声を張りながらふらりふらりとかぶき町を歩いておりました。駄菓子屋、甘味処、橋の近くのベンチ。何処に行っても彼は見つかりません。頭を掻きながらため息をついたとき、ひとつ向こうの通りからどおん、爆発の音が聞こえました。ま、まさか、攘夷志士が?

 慌てて駆けつけるとそこにいたのは探していた彼でした。バズーカを持って突っ立っている彼は唇をへの字に結んで何か思い悩んでいる様子でした。

「隊長、探しましたよ。何をしているんです」

「苛々すんだよ」

 ぶすっと不機嫌な彼はぶっきらぼうに言いました。

「お互いに死ねだとか罵り合うのは、本心じゃねえのに、他には何にも言えない、何にも出てこない」

 なあ、これは何なんだい、彼はひとりごとのように呟きました。俺はついくすりと笑ってしまいました。

 隊長、それは恋と云うのですよ。なんて告げれば俺への攻撃は更に増すことなど目に見えていますので俺は、何でしょうねえ、そう言ってへらりと莫迦な振りをしたのです。



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