ちいせぇちいせぇ、背中なんだ。自分の荷物も持ちきれない。よろよろと辛うじて立ってはいるけど、一歩踏み出せば途端に落としそうになってしまう。
 なのに、俺は背負いこむのが好きなのか、どんどん荷物は増えていくんだ。重たいし、辛い。おろせばどれほど楽かは俺がいちばん知っている。だけど離せずにいる俺はとんだ馬鹿だな。

 きっと、あの時、先生が俺を拾ってくれなければ、俺は今も同じような生活を続けていたと思うんだよ。ただ生きる為に人を殺して、死肉を漁って、嗚呼、今思い出しても地獄のような生活。

 本当に、言葉に表せねぇくらい感謝してるんだ。俺のいちばん怖いことは、人間じゃなくなっちまうことだなんて知らないだろう。

 なあ、先生。俺はあんたのようになりたいんだ。だからかもしれない、餓鬼をふたりも世話するなんて。昔の俺じゃあ考えられないだろう。どうかい、俺は人間か。

 俺は、人間だと思うよ。何てったって、重さを感じるからだ。痛みを感じるからだ。辛さを理解できたからだ。昔は、何も感じなかった。重い重い死体を背負っても重いなんて感じなかったし、刀でずばりと斬られても痛いなんてこれっぽっちも思わなかった。今はすごく感じるよ。新八も神楽もすげえ重たい、敵にやられた傷もすげえ痛い。だけど、背負ったままでいたい。


 おかしいねえ、俺ってこんなにマゾだったっけか。まあ、俺はこんなですが、幸せです、先生。ありがとう。



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