先日、土方が死にました。今迄積み上げてきたものが一挙にがらがらと崩れ去るように命は散り、土方の魂は地獄へ叩き堕とされました。そう、姉上には残念ですが土方の魂は天国へは逝けはしないでしょうね。野郎は多くの人を殺めすぎましたから。まあそれに関しては俺も同じですが。
犯人は万事屋の旦那です。攘夷志士の桂を捕らえ、処刑したのが土方だったからです。流石旦那、昔は白夜叉と恐れられたことはありますね、勘の鋭い野郎の背後に音もなく回り静かにぶすりと刺したそうです。一寸違わず野郎の心臓を貫いていたと。旦那は今指名手配犯として逃亡中です。どこにいるのかさっぱり見当もつきません。真選組一番隊隊長としてこんなことを思ってはいけませんが、旦那は死ぬまで見つからないんじゃないだろうかと思ってしまいます。のらりくらり、命尽きるまでこの宇宙のどこかで緩やかに生きていく気がします。志村とチャイナは事情聴取を受けていますが、口の堅い奴らだ、云とも寸とも言いやがりません。まあ、時間をかけて追いつめていけば良いのです。徐々に心を締めつけ引きちぎっていけば良いのです。
土方の葬儀は真選組内だけでひっそりと行われました。世間に公表しないつもりだからです。真選組副長がただの一般人に殺されたとなると、真選組の面目は丸潰れです。だからまだ土方は生きています、表向きでは。これほどの矛盾ってのがあるんですね。
そうだ、俺はいつも土方の命を狙っていたというのに、土方が死んで嬉しそうに見えないとは思いませんか。あんなのはただの冗談ですよ、本当に。遊びなのです。土方が好きな訳じゃありませんでしたけど本気で殺そうとするほど嫌いではありませんでした。ただ仲間を失ったことに対する悲しみはありますが、きっとどの隊員が死んでも同じ感情になったと思います。
姉上とは永遠に逢えないと思います。土方も俺も。でも俺は死んで地獄に送られれば閻魔と闘うつもりです。そして閻魔をも服従させ俺は姉上に会いに行きます。これは願望じゃなく、決定事項なのです。ただ、土方に先を越されれば全てがぱあに終わりますが。土方が閻魔に勝てなければ良いと思います。


これからも俺は斬り続けます。死ぬまでこの刀で、死後を支配するために。





「なーんてねィ」





くっと笑って手に持っている花を置いた。パンと手を打ち目を瞑る。


ああ面白い、嘘だった。


墓石にぽたりと涙が落ちた。




嘘と死lie and die



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -