特に好きな訳じゃない、んだと思う。多分。丁度媚びてくる女に飽きてきたところだったし、まあ顔も悪い方ではないし、なんか喋り方変だし、おまけに最強と称される夜兎ときた。俺に匹敵する強さを持つ女など初めて見たから、ちょっぴり興味が湧いただけで。
だから街で見かけると出会い頭に喧嘩をふっかけるのだ。強い相手と闘うのは楽しいし、俺自身、滅茶苦茶な太刀筋を避けはねのけしてる内にかなり強くなってるのではないかと思っている。それはそっちも同様だろう。
だからなんだよ、お前が跳躍し傘を振りかぶったときにほんの少し(それはそれはちょっとだけだった)存在を表した胸が目について、自然に視線がそこで止まってしまったからさ。断じてお前の方が強い訳じゃない。


「変態ィィィィィィ!!」

神楽は心の底から叫んだ。それは木の葉を散らすほどの威力であった。

「何が自然にだヨ!お前それただむはむはしてるだけじゃねーかこの変態ヤロー!!お前あれか?ロリコンですか?健全な幼い少女が大好きですか?ギボジワルイぃぃぃぃ!!マミー助けてここに私を汚そうとしてるサディストがいるアルヨぉぉぉぉぉ!!」
「何言ってんだよ誰がペチャパイなんかに欲情するか馬鹿。」
「これからなんだヨ!お前知ってるか?早熟の女子は老化も早いらしいアルヨ、ロリコン変態サディスト」
「なんだその名称」
「これからお前と喋るときは語尾にロリコン変態サディストを欠かさずつけるアル、ロリコン変態サディスト」
「馬鹿馬鹿しいねィ、ひとりでやってろよ」


溜め息をつき立ち去ろうとしながら、俺は不安に思った。膨らみを目にしたとき、激しく鼓動を打ったのは何故だろう。まさか…違う、好きな訳がない。それこそロリコン変態サディストになってしまう。ただ男のように強いものだから、女ということを再確認しただけだ。

「私変態嫌いじゃないアルヨ、ロリコン変態サディスト!」

かなりの早口で聞こえた。簡単な単語ではないだろうに。その舌を尊敬するくらいの早口だった。振り返っても神楽の姿はない。否、遙か遠くに藤色がちらついている。やはり驚異の身体能力だな。にやりと笑みが漏れた。

その方向へ全力疾走した。距離はあまり近づかない。ていうか何で追いかけてるんだ?別に嬉しかったとかじゃない。からかってやろうとしたんだ。きっと真っ赤であろうほっぺたを見てみたいんだ。ただそれだけ。







興味



の筈。



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