昨日、今迄俺が殺した人数が四桁を超えた。数えているのか、と皆は少し苦笑いを浮かべるだろう。そうだ、数えている。大きな取りものがあったとき、道端で攘夷浪士に襲われかけたとき、斬る度にひとり、ふたり、と数えているのだ。そして屯所に戻ると血まみれの隊服を脱ぐよりも先に真選組が出来た頃から使っている古ぼけたノートに書き綴ってゆく。最初の一頁の字は人間の肉を斬る恐怖からか震えているが、だんだんと頁を重ねる毎に乱雑な文字へと変化している。江戸に出て来て初めて真剣で肉を斬り裂いた時は恐ろしいと思ったのだ。これから人を斬っていかねばならないと思うと吐き気がした。しかし今はどうだろう。恐怖はあるか?躊躇はあるか?いいや、絶無だ。もうそれは俺の生活の一部なのだ。呼吸、まばたき、鼓動、斬る。これらと並立する位、斬ることは俺の生活に存在し蝕んでいた。

命は尊くかけがえの無いものだ――お決まりの綺麗な戯れ言である。あながち間違っちゃいないが、あてはまるとも思えない。そんな台詞を大きな布に書いて、屯所の前で座りこむ奴らが時たまいる。殺人は理由がどうであれ罪だ、真選組は残虐殺人の塊だ――黙ってほしい。俺らが攘夷浪士を斬っていかなければ江戸はすこぶる治安が悪くなるなんて、いくら悪い頭でもちょいと捻れば出てくるではないか。腹が立ち威嚇射撃でバズーカを打ちながらすぐさま立ち去れと睨む。奴らは慌てて逃げ出した。障害が入れば直ぐに伝えるのを止めるほど軽い意識なら、端っからするなというんだ。
大量の布は地面に置き去りにされた。しかし一枚の布はまだ俺たちに向けられている。

今迄奪ってきた命を償え!

持っていたのはまだ年半ばの少女であった。一瞬霧子を思ったが、それよりもまだ小さな少女であった。少女は涙目で精一杯俺を睨みつけ、渾身の力で叫んだ。

「人殺し!!」

その布もひらりと地面に落ちた。少女は走ってどこかへ消えた。今迄奪ってきた命?壱千だ。罪は壱千だ。これをどう償えと。消えた命は俺が何をしようと戻ってはこないのに。ではどうすればいい?消えた分の命を作り出せばいい?そんなこと――簡単じゃあないか。














では手始めに、彼女である神楽を孕ませようか。



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