彼女は圧迫死を好む





「……おい、サド」

「………」

「……三秒以内で返事しないと、首をへし折るアル」

「こえー女」

「なんだヨ、起きてたアルカ?」


沖田はゆっくりとアイマスクを外した。

目の前に少女が一人、こちらを眺めていた。

しかめっ面は彼女には似合わない

沖田はそう思った。


「どうどうベンチ占領すんなヨ」

「別に人なんていねー寂れた公園じゃねーか」

「私が居るダロ」


神楽はまた眉間に皺を寄せ、心底嫌な顔をして沖田を睨む。

沖田はそんな神楽をまだ寝ぼけ眼で眺めていた。
沖田は盛大に欠伸をする。


「お前は椅子なんていらねー、」

「んだとコノヤロー」

「ここ」

「…!おわっ…」


沖田は伸ばした右手で神楽の左手首をつかんだ。

そして力任せに神楽を自分の方へ寄せた。

神楽は案の定体制を崩して、沖田の胸に顔をぶつけた。

沖田は膝の上へ跨った神楽の体を逃がさぬようにぎゅっと抱き締めた。


「ったあ…鼻打ったアル…」


神楽は真っ赤になった鼻を抑え沖田の胸の中でもがいていた。

だが回された腕はどうにも解ける気配がない。


「いい加減名前で呼んでくんねーかな?」

「知るかヨ、お前の名前なんか」

「じゃあ今教えてやんよ、沖田総悟でィ」

「あっそ」


神楽はまたもがく。

だが力はさらに強くなるばかり。


「名前呼んだら解放を求める権利やらァ」

「離してくれるアルか」

「俺次第」

「このエゴイスト」


神楽はそういうが、沖田の顔を見上げれば、なにを言われようがサディスティクな笑顔で神楽を見下ろしていた。

へこたれない彼に神楽はぷくりと頬を膨らます。


「ほらほら、言わねーと圧迫死するぜィ」

「警察が殺人者なんてお前の人生お先真っ暗アルな、いい気味ダナ」

「…ったく、口数の減らねー女でさァ」

「だいたいおかしいダロ」

「何が?」


神楽は沖田を睨み付けながらいう。


「お前は私のこと名前で呼ばないアル」

「…、」

「……お前が呼ばない限り私だって…」

「神楽」


唐突に降り注ぐくすぐったい声に神楽は目を丸くした。

沖田はなお笑い続ける。

神楽は顔を徐々に火照らしていく。

沖田は得意げにもう一度彼女の名前を呼ぶ。


「神楽、」
「ちょ……」

「何ですかィ?神楽」

「止めるアル!」

「照れてんですかィ?可愛い、」

「ひぃぃぃ!」


神楽は沖田の腕の中で再びもがきだす。

だが腕は解けない。


「離せ!糞サド!」

「嫌でィ」


神楽は耳までも真っ赤になっている。


「コノヤロー!」
沖田は満足そうに頬を緩ました。





かまどさまとの相互記念でいただきました!ありがとうございました!
素直じゃないとこが神楽ちゃんぽくて好きです。やっぱ沖神は沖→→→←神がいちb(訊いてない)

これからも頑張りましょう!



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